「老後資金が不安」「預金だけでは増えない」と感じて、株式投資に興味を持つ方が増えています。一方で、「なんだか難しそう」「損をしそうで怖い」という不安から、最初の一歩が踏み出せない方も多いのではないでしょうか。ここでは、株式投資がまったくの未経験でもイメージできるように、仕組みと始め方の全体像をやさしく整理します。
株式投資とは?まずはざっくりイメージしよう
株式とは、ざっくり言うと「会社の持ち主の権利を細かく分けたもの」です。企業は事業を大きくするためにお金が必要ですが、その資金を集める方法のひとつが株式を発行することです。私たちが株を買うということは、その会社のオーナーの一人になる、というイメージです。
ただし、オーナーといっても社長のように経営を動かせるわけではありません。上場企業の株主は、配当金を受け取れたり、株主優待をもらえたり、株主総会で議決権を行使できたりする立場になります。「応援したい会社を、少しだけ一緒に育てていく」というスタンスで考えると分かりやすいでしょう。
株式投資で利益が出る2つのパターン
① 株価が上がることによる値上がり益
もっともイメージしやすいのが、株価の値上がりによる利益です。例えば、1株1,000円のときに100株(10万円分)を買い、その後株価が1,500円になったタイミングで売ると、差額の5万円が利益になります。反対に、株価が下がった状態で売却すると、その分は損失になります。
② 配当金や株主優待などのインカム収入
企業が利益を上げると、その一部を株主に配当金として分配する場合があります。年1回、年2回など、企業ごとに頻度や金額は異なりますが、「保有しているだけでお小遣いのような収入が入る」イメージです。また、企業によっては株主優待として、自社商品の割引券やカタログギフトなどを提供しているところもあります。
実際の投資では、「値上がり益」と「配当・優待」の両方を組み合わせて考えるケースが多くなりますが、未経験の段階では「増え方はこの2種類がある」と押さえておけば十分です。
始める前に決めておきたい3つのこと
① 目的と期間をざっくり決める
株式投資を始める前に、「何のために」「どのくらいの期間」でお金を増やしたいのかを考えておきましょう。例えば、「老後資金の準備として20年以上コツコツ」「5〜10年かけて教育資金を作る」など、目的と期間を決めておくと、取るべきリスクの大きさもイメージしやすくなります。
② 生活費とは分けた余裕資金で行う
株式投資は、値動きによって元本割れをする可能性があります。そのため、当面の生活費や急な出費に備えるお金とは分けて、「最悪なくなっても生活が破綻しない範囲の余裕資金」で始めるのが基本です。最初は月1万円など、無理のない金額からのスタートでもまったく問題ありません。
③ いきなり1銘柄に集中しないイメージを持つ
未経験のうちは、「この会社は良さそう」と思うと、そこに多くのお金を入れたくなりがちです。ただし、1社の業績やニュースだけで資産全体が左右されるのは、精神的な負担も大きくなります。将来的には、複数の銘柄に分けて投資する「分散」の考え方が大切になる、ということだけ最初に意識しておきましょう。
口座開設から取引までのざっくりした流れ
株を売買するには、証券会社で「証券口座」を開設する必要があります。流れは銀行口座の開設と似ており、次のようなステップです。
- 証券会社を選ぶ(手数料や画面の使いやすさなどを比較)
- インターネットから口座開設を申し込む
- 本人確認書類を提出し、審査完了後にID・パスワードが届く
- 証券口座にお金を入金する
- 銘柄を選び、注文画面から「買い注文」を出す
実際の操作は証券会社ごとに画面が違いますが、多くはスマホアプリから簡単に注文できるようになっています。この段階で、株価やチャート、会社情報をアプリで見られるようになるので、「気になる企業をウォッチする」ことから始めてみるのもおすすめです。
株を買うときによく出てくる用語
注文画面を開くと「成行(なりゆき)」「指値(さしね)」など、見慣れない用語が出てきます。ここでは最低限、次の2つだけ覚えておけば十分です。
成行注文
そのとき市場でついている価格で、とにかく早く売買を成立させたいときに使う注文方法です。価格を細かく指定しない代わりに、すぐ約定しやすいのが特徴です。
指値注文
「この価格で買いたい・売りたい」という金額を指定する注文方法です。指定した価格まで株価が届かなければ取引は成立しませんが、「高値づかみをしたくない」といった場合に役立ちます。
未経験のうちは、少額で試しながら、操作画面や注文方法に慣れていくイメージで十分です。
未経験者が最初に意識しておきたいこと
株式投資は、「一気に大きく増やす」よりも「時間を味方につけて、少しずつ増やしていく」考え方の方が、未経験者には向いています。そのためには以下のような姿勢が大切です。
- 短期の値動きだけを見て一喜一憂しすぎない
- ニュースやSNSの情報を鵜呑みにせず、自分でも企業情報を確認する
- いきなり大金を入れず、小さく始めて少しずつ慣れていく
このページで紹介したのは、あくまで全体像をつかむための「入り口」です。次のステップとして、「銘柄をどう選ぶか」「どんなタイプの株が自分に合うか」といったテーマを少しずつ学んでいくと、無理なく理解を深めていけるはずです。
※本記事は特定の銘柄や投資方法を推奨するものではありません。株式投資には価格変動などによる元本割れリスクがあり、損失が生じる可能性があります。投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。




