年金生活に入ると、毎月の収入がある程度見通しやすくなる一方で、住民税や確定申告、介護保険料、医療費、ふるさと納税、年金生活者支援給付金など、現役時代とは違う確認事項が増えます。特に60代・70代・80代では、夫婦世帯か単身世帯か、遺族年金を受け取っているか、ほかに給与や不動産収入があるかによって、必要な手続きや家計の考え方が変わります。この記事では、年金生活で見落としやすいお金のポイントを、制度の基本から家計簿の付け方までわかりやすく整理します。

年金生活の家計を確認するシニア夫婦のイメージ

この記事でわかること

  • 年金生活で確認したい税金・社会保険料の基本
  • 年金生活者の確定申告が必要かどうかの目安
  • 年金生活者支援給付金の申請・金額・請求書の注意点
  • 夫婦・60代・70代・80代・遺族年金世帯の家計見直し
  • ふるさと納税や家計簿で失敗しにくくする考え方

年金生活は「受け取る金額」だけでなく「差し引かれる金額」まで見ることが大切

年金生活では、年金の振込額だけを見ていると家計の実感とずれることがあります。公的年金からは、一定の条件に当てはまる場合、介護保険料、国民健康保険料または後期高齢者医療保険料、住民税、所得税などが天引きされることがあります。

つまり、年金の額面と実際に使える金額は同じではありません。年金振込通知書や年金額改定通知書を見て、「年金額」「介護保険料」「国民健康保険料・後期高齢者医療保険料」「所得税」「個人住民税」などの欄を確認することが大切です。

2026年度の年金額は増額改定。ただし家計が必ず楽になるとは限らない

日本年金機構の案内では、令和8年度の年金額は令和7年度から増額改定されています。昭和31年4月2日以後生まれの人の老齢基礎年金の満額は月額70,608円、標準的な厚生年金額は夫婦2人分の老齢基礎年金を含めて月額237,279円とされています。

ただし、これはあくまで制度上の例です。実際の受給額は、保険料を納めた期間、厚生年金の加入期間、現役時代の収入、繰上げ・繰下げ受給の有無などで変わります。また、物価や医療費、介護費、住宅費の状況によって、増額分以上に支出が増えることもあります。

年金生活 夫婦世帯は「平均」より自分の固定費を優先して見る

総務省統計局の2025年家計調査では、65歳以上の夫婦のみの無職世帯について、実収入、可処分所得、消費支出などの平均が示されています。こうした統計は目安になりますが、実際には持ち家か賃貸か、車を持っているか、子どもや孫への援助があるか、医療・介護の支出があるかで大きく変わります。

年金生活の家計簿では、まず次の3つに分けると見直しやすくなります。

  • 毎月ほぼ固定の支出:住居費、保険料、通信費、新聞、サブスク、車関連費
  • 変動する生活費:食費、日用品、光熱費、交通費、交際費
  • 年数回の大きな支出:税金、家電買い替え、冠婚葬祭、旅行、医療費

特に夫婦世帯では、どちらか一方が亡くなった後に世帯の年金額が変わる可能性があります。遺族年金を含めた将来の収入を早めに確認しておくと、住居費や保険料の見直しを落ち着いて進めやすくなります。

実は、年金生活で家計が苦しくなる原因は「大きな無駄遣い」だけではありません。次のページでは、住民税と確定申告で見落としやすいポイントを整理します。