加給年金は、一定の条件を満たす人の老齢厚生年金に上乗せされる制度です。「申請しないともらえない年金なのか」「妻が年上だとどうなるのか」「共働きでも対象になるのか」「2025年に廃止されたのか」など、制度の名前は聞いたことがあっても、実際の判断は少し複雑です。この記事では、2026年時点で確認できる公的情報をもとに、加給年金の基本、金額、手続き、繰上げ・繰下げとの関係、2025年改正による今後の見直しまで、できるだけ平易に整理します。

加給年金の手続きを確認するイメージ

この記事でわかること

  • 加給年金とは何か、どんな人が対象になるのか
  • 2026年度の加給年金額と、配偶者・子どもの条件
  • 妻が年上、共働き、公務員の場合の考え方
  • 繰上げ受給・繰下げ受給を選ぶときの注意点
  • 2025年改正で「廃止」と言われる理由と、今後の見直し

加給年金とは、年金版の「家族手当」に近い上乗せ制度

加給年金とは、厚生年金に一定期間加入していた人が老齢厚生年金を受け取るときに、条件を満たす配偶者や子どもがいる場合、老齢厚生年金に加算される年金です。会社員や公務員などとして厚生年金に長く加入してきた人のうち、扶養している家族がいる場合に加算されるため、よく「年金版の家族手当」と説明されます。

ただし、誰にでも自動的に上乗せされる制度ではありません。主なポイントは、本人の厚生年金加入期間配偶者や子どもの年齢生計維持関係配偶者自身の年金の状況です。ここを取り違えると、「もらえると思っていたのに対象外だった」ということが起こりやすくなります。

本人側の基本条件は「厚生年金20年以上」が目安

加給年金が加算される代表的なケースは、本人に厚生年金保険の被保険者期間が20年以上あり、65歳到達時点などで、その人に生計を維持されている配偶者または子どもがいる場合です。厚生年金の加入期間が短い場合は、配偶者や子どもがいても対象にならないことがあります。

なお、一定の生年月日以前の人には「中高齢の特例」と呼ばれる扱いがあり、40歳以降、女性や坑内員・船員は35歳以降の厚生年金加入期間が15年から19年でも対象になり得る場合があります。ただし、この特例は対象者が限られるため、現在の多くの人は「20年以上あるか」をまず確認するのが現実的です。

「生計を維持している」とは、同居だけで判断しない

加給年金では、対象となる配偶者や子どもが本人に「生計を維持されている」ことが重要です。一般的には、同居していることがわかりやすい例ですが、別居していても仕送りをしている、健康保険の扶養親族になっているなどの事情があれば、生計を同じくしていると認められる場合があります。

また、収入要件もあります。対象となる配偶者や子どもについて、原則として前年の収入が850万円未満、または所得が655万5,000円未満であることが目安です。つまり、単に配偶者がいるだけ、子どもがいるだけではなく、家計の実態や収入状況も確認されます。

2026年度の加給年金額はいくら?配偶者と子どもで違う

加給年金の金額は毎年度の年金額改定によって変わります。2026年4月からの加給年金額は、配偶者と1人目・2人目の子どもがそれぞれ年額243,800円、3人目以降の子どもがそれぞれ年額81,300円です。

対象者2026年4月からの年額主な年齢条件
配偶者243,800円原則65歳未満
1人目・2人目の子各243,800円18歳到達年度の末日まで、または1級・2級の障害状態にある20歳未満
3人目以降の子各81,300円18歳到達年度の末日まで、または1級・2級の障害状態にある20歳未満

配偶者が対象になる場合は、本人の生年月日に応じて「特別加算」が上乗せされます。2026年度の場合、昭和18年4月2日以後生まれの人は特別加算が年額179,900円で、配偶者分の加給年金と合わせると年額423,700円です。現在65歳を迎える世代の多くはこの区分に該当しますが、実際には本人の生年月日で確認してください。

ここまでが基本ですが、加給年金は「家族がいれば必ず上乗せ」という単純な制度ではありません。特に配偶者の年齢や働き方で結果が変わります。次のページで、妻が年上・共働き・公務員だった場合の落とし穴を見ていきます。