家族信託 手続き方法|契約書作成から銀行口座・登記までの流れ

家族信託の手続き方法は、家庭ごとの財産内容や目的によって変わります。ただし、一般的には次のような流れで進みます。

1. 家族で目的を整理する

最初に決めるべきことは「何のために家族信託を使うのか」です。認知症対策なのか、不動産管理なのか、相続後の承継先まで考えたいのかによって、契約内容は変わります。

よくある目的は、親の生活費・医療費・介護費の支払い、空き家になる可能性がある自宅の管理、賃貸不動産の修繕や売却、二次相続以降の財産承継などです。目的があいまいなまま契約書を作ると、後で受託者が何をしてよいのかわからなくなります。

2. 信託する財産を決める

家族信託では、すべての財産を信託する必要はありません。預金の一部、自宅、賃貸不動産など、管理が必要な財産を選んで契約に入れます。

ただし、年金受給口座そのものをそのまま信託口口座にできるとは限りません。また、金融機関によって家族信託への対応は異なります。銀行で信託口口座を作りたい場合は、契約書を作る前に対応可否、必要書類、口座名義の形式を確認しておくと安心です。

3. 受託者を決める

受託者は、財産を預かって管理する重要な役割を担います。家族だから誰でもよいわけではありません。お金の管理ができるか、他の相続人に説明できるか、長期間続けられるかを考える必要があります。

受託者には、信託財産と自分の財産を分けて管理する義務があります。家族信託用の銀行口座を用意し、入出金の記録を残すことが大切です。受託者が自分の生活費と混ぜて管理すると、後で不正利用を疑われる原因になります。

4. 家族信託 契約書を作成する

家族信託契約書には、少なくとも次の内容を明確にします。

  • 信託の目的
  • 委託者・受託者・受益者
  • 信託する財産の内容
  • 受託者ができる管理・処分の範囲
  • 受託者が交代する場合のルール
  • 信託が終了する条件
  • 信託終了後に財産を受け取る人

インターネット上のひな形をそのまま使うと、家庭の事情に合わない条項が残ったり、必要な条項が抜けたりするおそれがあります。特に不動産を含む家族信託では、登記できる内容になっているか、銀行が受け付ける内容になっているかも重要です。

5. 家族信託 公正証書にする

家族信託契約は、必ず公正証書でなければ成立しないわけではありません。しかし、実務上は公正証書にするケースが多く見られます。理由は、本人確認や意思確認の記録が残りやすく、金融機関や登記手続きで説明しやすくなるためです。

公正証書にする場合は、公証役場で公証人に作成してもらいます。公証人手数料は、契約の目的価額などに応じて定められます。たとえば、目的価額が大きくなるほど手数料も上がる仕組みです。実際には、正本・謄本代などが加わる場合もあります。

6. 不動産がある場合は信託登記をする

信託財産に土地や建物が含まれる場合は、不動産の信託登記が必要になります。登記をすることで、その不動産が信託財産であることを外部に示せます。

登録免許税については、土地の所有権の信託登記は本則0.4%ですが、軽減措置により0.3%となる期間があります。建物は0.4%が基本です。税率や軽減措置の期限は改正されることがあるため、実際の手続き時点で確認が必要です。

家族信託 司法書士に相談すべき?専門家選びの目安

家族信託は、契約書作成だけでなく、不動産登記、相続、税務、銀行実務が関係します。司法書士は不動産登記や契約書作成支援に関わることが多く、弁護士は家族間トラブルや紛争リスクがある場合に相談しやすい専門家です。税金の判断が必要な場合は税理士の確認も重要です。

相談先を選ぶときは、家族信託の経験、費用の明細、契約後のサポート、税理士や弁護士との連携体制を確認しましょう。家族信託普及協会のような専門団体の情報も、制度の概要や専門家を探す際の参考になりますが、最終的には個別事情に合う専門家かどうかを見極めることが大切です。

家族信託は便利な反面、費用や家族間の不公平感で後悔する例もあります。次のページでは、デメリットと費用相場を現実的に整理します。