退職金は、長く働いてきた人にとって老後資金の大きな柱になりやすいお金です。一方で、「退職金とは何か」「いつ振り込まれるのか」「税金はいくらかかるのか」「退職金制度がない会社ではどうなるのか」など、受け取る前後で確認すべき点は少なくありません。この記事では、退職金制度の基本、退職金の計算方法、退職所得控除、源泉徴収票、住民税、受け取り後の運用まで、初めてでもわかりやすく整理します。

退職金や老後資金について書類を確認するイメージ

この記事でわかること

  • 退職金とは何か、退職金制度とはどのような仕組みか
  • 退職金がいつ振り込まれるか、確認すべき書類
  • 退職金の計算方法と退職所得控除の基本
  • 退職金にかかる所得税・住民税・源泉徴収票の見方
  • 退職金がない会社で確認したいこと、受け取り後の運用の考え方

退職金とは?まず押さえたい基本

退職金とは、従業員が退職するときに会社などから支払われるお金のことです。一般的には一括で受け取る「退職一時金」を指すことが多いですが、企業年金のように年金形式で受け取る制度を含めて「退職給付」と呼ぶこともあります。

重要なのは、退職金は法律で全ての会社に義務づけられているものではないという点です。退職金制度を設けるかどうか、どのような条件で支給するかは、会社の就業規則や退職金規程、企業年金制度などによって異なります。そのため、同じ勤続年数でも、会社や雇用形態、退職理由によって金額が変わることがあります。

退職金制度とは何か

退職金制度とは、従業員の退職時に一定の金銭を支給するための会社の制度です。代表的には、会社が独自に定める退職一時金制度、確定給付企業年金、企業型確定拠出年金、中小企業退職金共済制度などがあります。

厚生労働省の令和5年就労条件総合調査では、退職給付制度がある企業割合は74.9%とされています。企業規模が大きいほど制度がある割合は高く、1,000人以上の企業では90.1%、30〜99人の企業では70.1%です。つまり、退職金制度は広く導入されていますが、全ての会社にあるわけではありません。

退職金制度がない会社・退職金がない会社で確認したいこと

「退職金制度がない会社」「退職金がない会社」だからといって、直ちに違法とは限りません。ただし、求人票、雇用契約書、就業規則、退職金規程に退職金の記載がある場合は、支給条件や計算方法を確認する必要があります。

  • 就業規則に退職金規程があるか
  • 自己都合退職と会社都合退職で扱いが違うか
  • 勤続何年以上で支給対象になるか
  • 正社員・契約社員・パートなど雇用形態による違いがあるか
  • 中小企業退職金共済や企業年金に加入しているか

退職金の有無は、毎月の給与だけでは見えにくい待遇差です。転職や定年退職が近づいてから慌てないためにも、早めに勤務先の規程を確認しておくと安心です。

退職金はいつ振り込まれる?退職前に確認する書類

退職金がいつ振り込まれるかは、会社ごとの規程によって異なります。退職日と同時ではなく、退職後1か月以内、退職月の翌月給与日、退職後数か月以内など、支払い時期に幅があります。中小企業退職金共済など外部制度を使っている場合は、請求手続き後に支払われる流れになるため、会社内の退職一時金とはタイミングが異なる場合があります。

退職前に確認したいのは、金額だけではありません。支給予定日、税金の計算方法、控除の扱い、退職所得の受給に関する申告書の提出有無、退職所得の源泉徴収票の交付時期も重要です。

退職金の源泉徴収票は何に使う?

退職金の源泉徴収票は、退職金の支払額、退職所得控除額、源泉徴収された所得税などを確認するための書類です。正式には「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」として扱われ、市区町村に提出される特別徴収票を兼ねています。

退職金について、会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば、原則として退職所得控除を反映した税額計算が行われます。一方、この申告書を提出していない場合は、退職金の金額に対して20.42%の源泉徴収が行われることがあります。退職前後の手続きで見落としやすい部分なので、勤務先から案内があったら内容を確認しましょう。

退職金の手取りを大きく左右するのは、実は「退職所得控除」の仕組みです。次のページで、計算方法を具体的に見ていきます。