夫婦二人・一人暮らし・賃貸・持ち家で変わる老後資金
夫婦二人の老後資金は「年金額」と「住居費」で大きく変わる
夫婦二人の場合、まず確認したいのは夫婦それぞれの年金見込み額です。会社員期間が長い夫婦、共働き期間が長い夫婦、自営業中心の夫婦では、将来の年金額が異なります。
夫婦二人の持ち家の場合、家賃はかからない一方で、固定資産税、火災保険、修繕費、リフォーム費用、マンションなら管理費や修繕積立金がかかります。持ち家だから老後資金が少なくてよいとは限りません。
夫婦二人の賃貸の場合、家賃が長く続くことが最大のポイントです。家賃が月8万円なら年間96万円、30年で2,880万円です。もちろん家賃補助や住み替えで負担を抑えられる場合もありますが、賃貸の人は住居費を別枠で見積もることが大切です。
一人暮らし・独身女性は「長生きリスク」も考える
65歳以上の単身無職世帯では、2025年平均のデータで可処分所得が約11.8万円、消費支出が約14.8万円となっており、月約3.0万円の不足とされています。単身世帯は夫婦世帯より総支出は少ないものの、住居費や光熱費を一人で負担するため、割高になりやすい面があります。
特に独身女性の場合、平均寿命や平均余命を踏まえると、老後期間が長くなる可能性も考えておきたいところです。厚生労働省の令和6年簡易生命表では、65歳時点の平均余命は男性19.47年、女性24.38年です。平均より長生きする人も多いため、90歳以降の生活費も視野に入れておくと安心です。
老後資金がない場合に、今からできること
老後資金が十分にないと感じる場合でも、まずは不安だけで判断しないことが大切です。最初にやるべきことは、現在の収入、支出、貯蓄、退職金見込み、年金見込み額を紙や表に書き出すことです。
- ねんきん定期便やねんきんネットで年金見込み額を確認する
- 毎月の固定費を把握し、通信費・保険料・サブスクを見直す
- 退職後も無理のない範囲で働く選択肢を考える
- 住宅ローンや家賃の負担を早めに確認する
- 生活防衛資金を確保したうえで、制度を理解して資産形成を検討する
投資を検討する場合は、元本割れのリスクがあります。老後資金をすべて投資に回すのではなく、生活費として使う予定の近いお金は預貯金で確保し、長期で使わない資金を分けて考えることが重要です。
老後資金の貯め方は「金額」より「不足額の圧縮」が先
老後資金を増やす方法というと、貯金や投資に目が向きがちです。しかし、実際には「毎月の不足額を小さくする」ことも同じくらい重要です。
たとえば、老後の不足額が月10万円なら30年で約3,600万円ですが、固定費の見直しや働く期間の延長で不足額を月5万円にできれば、30年で約1,800万円まで下がります。必要な老後資金を減らすことは、資産を増やすことと同じ効果があります。
50代・60代からでも見直せる3つのポイント
1つ目は、固定費の見直しです。保険料、通信費、車関連費、住宅費は、一度見直すと効果が長く続きます。無理な節約ではなく、使っていない支出を減らすことが大切です。
2つ目は、働く期間の調整です。月5万円でも収入があれば、年間60万円、5年で300万円です。さらに、その期間は貯蓄の取り崩しを遅らせる効果もあります。
3つ目は、資産の置き場所を考えることです。すぐ使うお金、数年以内に使うお金、10年以上使わないお金を分けると、預貯金と資産運用のバランスを考えやすくなります。
老後資金はいくら必要かを決める最終チェック
最後に、老後資金の必要額を考えるときは、次の順番で確認しましょう。
- 毎月の年金見込み額はいくらか
- 老後の生活費は最低いくら必要か
- 賃貸・持ち家・住宅ローンの負担はどうなるか
- 医療費・介護費・修繕費などの予備費をいくら見るか
- 何歳まで働くか、退職金はいくら見込めるか
- 毎月の不足額が何万円になるか
老後資金は、2,000万円、4,000万円、1億円といった数字だけで判断すると不安が大きくなります。大切なのは、自分の年金、支出、住まい、働き方に合わせて、毎月の不足額を見える化することです。必要額がわかれば、貯め方、支出の見直し方、働き方の選択肢も具体的になります。
<参考サイト>日本年金機構 / 厚生労働省 / 総務省統計局 / 金融庁 / 公益財団法人 生命保険文化センター
